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高単価・低リピート購入率の商品を販促するポイントとは

そもそも高単価の商品というものは、頻繁に購入するものでないことが多いでしょう。
しかし、企業のビジネスの観点から見れば、1度だけの販売だけではなく、継続的な利益を生む運用を実践しなくてはなりません。
この記事では、高単価・低リピート購入率の商品を販促するポイントについて解説していきます。

高単価・低リピート購入率商品とは

高単価・低リピート購入率商品の定義

まず始めに、高単価と低リピート購買率についての定義を明確にしておきましょう。
高単価とは一般的に1,000元以上の商品を指しますが、絶対的な指標ではなく、消費者の中で商品をどう認識するかによって変化します。
たとえば、キーホルダーを例に挙げて説明しますと、多くの消費者の認識ではおおよその価格帯としては10~30元程度でしょう。
しかし、もしあるキーホルダーを200~300元で販売したら、その商品は高単価商品と思われるはずです。
また、低リピート購入率とは、一般的に顧客の購入頻度について1年以上、または一生に1~2回しか購入しないことを指します。

高単価・低リピート購入率商品の販促方法

高単価・低リピート購入率の典型的な品目としては、ブライダル関連、住宅、自動車、ジュエリーなどが挙げられますが、GMV(流通取引総額)を高める重要な要素はCV率(コンバージョン率)、紹介率です。
高単価・低リピート購入率の商品販売における効果的な対応方法は、1対1のアドバイザー式サービスが基本となります。
また、顧客タグ付け、KOC(消費者に近い存在でありながら商品の情報を発信してくれるユーザー)の発掘・育成、品目拡大によりリピート購入を促すことも重要です。

なぜアドバイザー式サービスなのか

一般的な実店舗での販売では、1対多人数である場合が多く、顧客と深く交流できない特徴があります。
しかし、顧客にとって高単価・低リピート購入率商品は不確定要素が多いうえ、不安もあることから購入決定までの時間が長いのも事実です。
そのため、1対1のアドバイザー式サービスで信頼関係を構築するとともに顧客の心配点を把握し、注文の不安を解消させることが求められます。
たとえば、商品プロフィールの公開や専用のIPアカウントの開設、視聴ライブコマースの配信などを行い、よりユーザーに密着することで購買を促すと効果があるでしょう。

自動車の販促事例

それでは、自動車販売を例に挙げて説明します。
ユーザーのプライベートドメインで自動車専門の知識を配信できるシステムを構築し、自動車の知識をシェア、または講演を通じて理解を深めてもらいます。
同時に商品プロフィールの正確性を確保するために、営業担当や専門家により1対1の具体的なアドバイザーサービスを行います。
ここで重要な点は、現場スタッフが強い共感力を持って営業活動を行い、顧客の信頼を呼び寄せることです。

潜在客から注文獲得までのプロセス

顧客とのタッチポイント形成

1対1のアドバイザー式サービスでの販売は、7つのステップから構成されます。
まず初めに、Wechatを登録したユーザーはブランド名を知っていたとしても商品の詳しいことは何も知りません。
ユーザーの需要意識が強い時期に商品価値をアピールしアイスブレイクをしなければ、時間の経過とともにユーザーの意欲は徐々に低下し、最終的には離脱につながってしまうでしょう。
アイスブレイクとは、会議や研修などの前に緊張をほぐすために行うゲームや雑談を意味します。
したがって、ここでは企業が顧客の不安や疑問を解消するためのファーストコンタクトと考えてよいでしょう。
具体的には、「ユーザーにニックネームを付けてもらう」「提供できるサービスの案内」「アンケート記入の依頼」「オフライン店舗への招待」などがあります。
また、ユーザーとの関係を深め、できるだけ早くブランドの価値を認知してもらうため、併せて有効なサービスを提供することも考えられるでしょう。
そして、関連価値のある商品やコース、商品ガイド、抽選賞品など、最後に顧客と今後コンタクトを取るために双方向のフックを残しておくことが大切です。

顧客ニーズを探る

ユーザーのニーズを深く探り、先述のファーストコンタクトの内容に基づいた明確な質問、「いいね!」などのコメントで交流、さらにシステム上で追跡したデータで「顧客行動タグ」を付け、徹底的に顧客ニーズを把握することが重要です。

ユーザーのペインポイント排除を促す

顧客のペインポイントも探求します。
この場合のペインポイントとは、「不安」や「不快」「不便」なものを指します。
ここでも自動車を例に挙げて説明します。
簡単な例としては「自動車がないと非常に不便だ」ということを提示しつつ、「購入すれば生活範囲が格段に広がり、週末には家族と旅行にも行ける」などのように素敵な生活が待っていることを伝えます。

ソリューション

ユーザーのニーズにマッチングしていることを示し、購入することで問題解決に至ることを伝えます。
しかし、商品はニーズにマッチしているが、高単価商品は購入の際に迷う可能性があります。
また、顧客には商品の品質・価値に対する保証があるかなどの心配点もあるでしょう。
ここで不安を解消するため、購入済のユーザーの証言や体験談などを切り口にして、柔軟な質疑応答を行います。

成約まであと一歩

購入意欲を加速させるために、顧客の外部要素である心理を利用し、決断を促します。
たとえば、期間限定・数量限定などを強調し、期間内に購入すれば特典があることを伝えます。
そして、チャット内で特典がある期間終了が迫っている状況を「あと7日間、3日間、3時間、1時間」といった日時のカウントダウンなどで煽ります。
さらに、すでに注文したユーザーのオーダースクリーンショットを多数掲載し、この機会を失ったら二度とチャンスがないという雰囲気を作ると効果があります。

アフターサービスの重要性

いくら優れた商品であっても、使い方がわからなくて使用できないのでは価値がないのと同じです。
この段階で最も重要なのは、商品の特徴により顧客に取り扱い方法を丁寧に説明したうえ使用を促して、アフターサービスに尽くします。
たとえば新車の場合、ユーザーは車両の操作について詳しく知らないので、関連マニュアルを配布し、その後ユーザーが抱えた問題点を整理して分類します。
それらを今後の商品開発とマーケティング活動に反映させ、顧客の満足度アップにつなげます。
ただし、これらのプロセスは、ブランド・商品カテゴリー・販売対象ユーザーによって異なるので、それぞれ調整が必要なのは言うまでもありません。

顧客のタグ付け

層別化システム

層別化システムで顧客を理解するからこそ、顧客のペインポイントを深掘りできるのです。
何が求められているのか、何が求められていないのかを知り、的を得た解決策を携えてユーザーに納得してもらうことが大切です。
顧客にブランドを信頼してもらうには、顧客のニーズをしっかり理解する必要があります。
顧客とブランドの接触記録、対応した従業員の行動など、自動または手動でタグ付けを行うことによって顧客のプロフィールを徐々に理解し、層別化することでそれぞれ異なる顧客の生活環境に合わせてプッシュします。
タグワードが増えれば増えるほど、顧客に対する理解が深まり、顧客プロフィールが立体的かつ明確になるでしょう。

顧客タグシステム

自動的にフィルタリングしてWechatの内容を記録、かつミニプログラムとの交互データにより、顧客に相応なタグを自動で付けていきます。
また、現場スタッフも顧客との交流の情報をもとに手動でタグを付けます。
意識的に誘導し記録していくことで、ブランドが求める顧客の情報タグを取得できます。
これは高単価商品のコンバージョンで非常によく見られることなのです。
たとえば、顧客はミニプログラム上で「肌テスト」を行い、バックグラウンドで自動的に相応な肌質のタグを生成します。
あるいは、顧客がアンケートに回答し個人情報を記入した時点で、自動的にバックグラウンド上でタグを付ける仕組みにします。

タグの絞り込み

多くの人はタグを付けることが多ければ多い方が、顧客に対する理解度が深まると思っているかもしれません。
論理的には間違いではないでしょうが、ビジネスの観点から見ると消費者はそれぞれ要求するものの種類と数量、そして方向性が異なりますので、一括で管理するのは容易ではありません。
したがって、タグは数量が多ければよいというものではなく、品目の特性によって絞り込んで決定するべきなのです。

タグ決定の4つの方向性

まず1つ目は社会タグです。
これは、いわば顧客の基本情報とも言える居住地域・年齢・性別・身長・職業・誕生日などで選別します。
2つ目は、消費情報です。
顧客の消費状況により手動でタグを付けます。
高単価商品にとってこのタグは非常に大切で、ペインポイントの把握と運営の重要な要素になります。
消費ニーズ、消費能力、消費頻度、消費嗜好(自動車の場合、車内スペースと運転のしやすさのどちらを重視するかなど)、求めている価格帯、以前乗っていた車、参加したキャンペーンなどが挙げられます。
3つ目は、行動タグになります。
顧客がWechatやミニプログラムを利用した際の行動データから選別します。
たとえば、参加したイベント、閲覧した文章、受け取ったクーポンなど一連のアクションからタグ付けします。
そして4つ目は、層別タグです。
顧客の層別化とは、顧客のさまざまな方向性を統計し、ビジネス価値の観点から顧客を選別し、それぞれの層別の顧客に合わせた営業活動を取ることです。

顧客の層別化

層別化の方法

高単価商品における顧客の層別化は、次の4つに選別して行います。

①まったく知らない顧客(まったく交流がなかった)
②潜在顧客(チャットなどで「いいね!」を押したことがあるが、ニーズは不明)
③購買意欲がある顧客(商品を紹介し、見積もりも出してニーズが明確)
④注文した顧客、リピート購入顧客、VIP、KOCなど

自動車のような超高単価、超低頻度のビジネスシーンを想定した場合、顧客を「問い合わせ」「試乗」「予約」「オーナー」「KOC」に分類することができます。

層別化した顧客へのアクション

前述の例に挙げた自動車のケースで具体的な対応を見てみましょう。

①問い合わせ客

この顧客は商品に対する認知度が低いと言えます。
広告または知人の紹介情報だけしか知らなかった場合、現場スタッフは出来るだけ早く来店して、試乗するよう促すアクションが非常に重要です。

②試乗した顧客

すでに商品価値を理解したので、この時点で専門知識とブランド力で顧客に注文に至らせるまでの不安を解消し、数量限定や期間限定などのさらなる販促と所有した後の満足度を約束し、注文予約金を支払ってもらいます。

③注文予約した顧客

顧客にとってまだ納車になっていないだけなので、車を待っている間にリアルタイムで納車の進捗状況を伝え、必要な手続きを行いつつ車両オーナーイベントなどの案内をします。

④車両オーナー

ブランド側は車両の適正な使用方法を伝えるとともに、オンラインまたはオフラインによるイベントに参加してもらったり、定期的なメンテナンス実施で友好関係を保ちます。

⑤KOC

KOCには相応の権益を与えます。
そして、発信してくれるユーザーストーリーを支持すると同時に拡散を促します。
さらに毎季・毎年KOCの専属活動を開催し、誕生日プレゼントを用意。
他の層別顧客との差別化を明確にして営業活動を行うことが大事です。

KOCで終わりではない

KOCになってもらうことで、高単価・低頻度商品の取引が終わったというわけではありません。
むしろ、新たなスタートを意味するものなのです。
オーナーとなった顧客と、イベントなどを通じ絶え間なくアプローチを続け、KOCになってもらうことで、さらなる拡散を狙います。

KOC発掘育成の前提

KOC発掘育成の前提は、いわゆる商品の「口コミ」です。
口コミはユーザーが商品を使用し、機能を体験する中で自然に形成されるものです。
商品そのものが優れていなければ、当然ユーザーはKOCになってくれません。
また、商品以外にも期待を超えるサービスもよい口コミにつながります。
再び自動車販売を例に挙げますが、顧客が車両を購入したことで特別な「入場券」を獲得したイメージを持たせ、実際、毎週無料でイベントに参加できるようにします。
飛行機代、宿泊料金込みで年間イベントにも参加できます。
さらに誕生日、休日、記念日などにはサプライズのプレゼントを届けます。
そのような満足度の高いサービスで「よい口コミ」の拡散が期待できるのです。

KOC発掘の2つのステップ

KOC発掘は業務の進展状況によって、2つのステップに分けられます。
まずスタート段階ですが、ブランド側はプライベートドメインでKOCとシステムを構築しますが、初めのうちはユーザー数も少なくシステムも完璧とは言えないでしょう。
スタッフは1対1の会話によるコミュニティの中で、積極的に拡散してくれそうな顧客を発掘し、KOCの対象とします。
次の段階ですが、KOCを得意な分野ごとに分類します。
コンテンツKOC、体験KOC、共同創造KOCなど、具体的な分野に分けることにより拡散が加速します。

KOCへのインセンティブ

一般ユーザーをKOCに誘導するには、インセンティブは名誉や特権を重視し、専属性を強調しておく必要があります。
ユーザーがKOCレベルとブランド側が判定したならば、KOC専属のサービス担当者よりステータスを授与し、ブランドのCEOや役員から直筆の感謝状やID・トロフィーの証明書、そしてKOCの専属グループへの招待状を贈呈します。
日常的にはKOCステータスを象徴する専属アイテムである、メダル・バッグ・洋服・ノート・ペンなどを贈呈します。
繰り返しになりますが、KOCとしての特権は一般ユーザーと区別しないといけません。
一般ユーザーより高い割引率、各種サプライズプレゼント、イベントチケットの付与など徹底した差別化が必要です。

カテゴリー拡大によるリピート購入を促す

しかし、高単価の単一商品のリピート率には限界があります。
リピート購入率が低くなると、ブランドは商品カテゴリーを拡大することで、顧客の購入頻度を上げなくてはなりません。
ただし、何でもいいから商品を拡大すればよいというものではありません。
あくまで、1対1で顧客のニーズをブランド側がきちんと聞き取ったうえで、よりよい商品を開発することが重要なのです。

まとめ

この記事では、高単価かつ低リピート購入率である商品の販促手法について述べました。
1対1アドバイザー式サービスを前提にして、ユーザータグを層別化し、そしてKOCの発掘とカテゴリーの拡大がブランドリピートのポイントとなることを解説しました。
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記事監修者:聂 宏静(Nie Hongjing)
YouzanJapan CEO補佐 マネージングディレクター

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