初心者にも分かりやすい越境ECとは?越境ECのメリット・はじめ方と事例を紹介

 

インターネットやスマホの普及により、ECの利用者が増え、越境ECでの取引も盛んになりました。また、コロナ禍の影響で、来日客が減り、日本製商品を求める外国の方も確実に増えています。Youzan
Japanでは、日本の製品を中国で販売する越境ECサービスと、中国での豊富な実績を活かしたソーシャルECサービスを提供しています。越境ECで売上を伸ばしたい、でもどう始めたらいいのかは分からないあなたに越境ECを分かりやすく解説します!

越境ECとは?

越境ECは、その名の通り国境を超えて行われるECサイトでの売買を指します。

日本でもECの利用者数増加やスマートフォンの普及もあり、越境ECも盛んになってきました。日本製の商品は高品質、安全であることから、海外での人気も高く外国人からも支持されています。また、昨今のコロナ禍において日本への観光が難しいこともあり、以前のインバウンド需要が越境ECにスライドしている傾向もみられます。

最新の越境ECの市場規模

世界のEC市場の成長率は日本よりも大きく、市場規模は広大です。

2018年時点で世界全体のEC市場規模は約313兆円でしたが、2020年には440兆円まで伸張。 そのうち日本は19兆3,609億円。世界のEC化率は同年で16.1%でしたが、日本は6.76%と、世界に比べてまだ低い水準となっています。国別では中国がEC市場で占める割合はなんと約52%にのぼっています。

越境ECにおいては、約60兆円規模に市場が拡大しており、中でも世界一の取引額を誇る中国、コロナ禍でより活況のAmazonを擁するアメリカなどの成長が目を引きます。

日本と中国・米国の越境EC取引額

中国・アメリカ・日本越境EC市場(2019年)
 

日本・米国・中国3カ国の越境EC市場規模(2019年)
越境EC購入額 伸び率
日本 3,175億円 14.8%
米国 1兆5,570億円 11.8%
中国 3兆6,652億円 12.3%

越境ECにおける主要国中国、アメリカ、そして日本のそれぞれの取引額は下記の通りです。

日本の越境 BtoC-EC(アメリカ・中国)の総市場規模は3,175 億円となった。
このうち、米国経由の市場規模は 2,863億円、中国経由の市場規模は 312億円。

アメリカの越境 BtoC-EC(日本・中国)の総市場規模は 15,570 億円。
このうち、日本経由の市場規模は9,034 億円、中国経由の市場規模は 6,535 億円。

中国の越境 BtoC-EC(日本・アメリカ)の総市場規模 36,652 億円となった。このうち、日本経由の市場規模は 16,558億円、米国経由の市場規模は 20,094億円であった。

特にEC市場世界一の中国においては、国内の物流企業によるグローバル物流網の構築が加速され、世界の200以上の国・地域に中国製品を輸出し、さらに、世界中の商品を、中国の消費者に届けるサービスが補完されていることが背景にあります。

なぜ越境ECはここまで成長したの?

越境ECが急成長を遂げた理由には大きく3つの理由があります。

理由1:インターネットとスマホの普及

世界中なインターネット、スマートフォンの普及が国と国との距離を縮めました。PCやスマートフォンを介すことで、国が違く手も、遠隔地であっても買い物ができ、更にスマートフォン端末が安価に簡単に手に入るようになったことが、越境ECの市場拡大を後押ししたことは間違いありません。今ではほとんどの人が持つようになった携帯端末から、いろんな国のECサイトを閲覧することが容易になりました。スマートフォンがある事で、自国で販売されている商品と、海外のECサイトで販売されている商品を比較することができるようになったのです。物理的には、身近にショッピングモールやショップがない地域に住んでいても、手軽に海外から商品を購入できるようになったことも影響しているのは確実です。

理由2:インバウンド訪日観光客によるリピート購入

観光で日本を訪れた外国人が、日本滞在中に家電製品や衛生用品、食料品、衣類などを利用して気に入り、帰宅後に越境ECを利用してリピート購入をするというケースが日本の越境EC市場を押し広げた背景もあります。自国では取り扱いのない日本の商品も、越境ECでは簡単に手に入れられます。また、昨今のコロナ禍で、日本を訪れることが物理的に難しいため、インターネットで日本製品を購入しているケースも目立ちます。しかし、越境EC率の高い中国においては、2014年に中国人が日本から越境ECで購入した商品の合計金額は6,064億円、一方、同じ年の中国人によるインバウンドの購入金額は4,020億円と、インバウンドでの売上よりも、越境ECでの売上が以前から高かったという事実もあります。

理由3:コストを軽減&販売地域の拡大

企業が越境ECをスタートさせる理由に、低コストで始められることが挙げられます。海外に直接出店する場合、地元の企業と合弁会社を設立したり、複雑な出店申請を行う必要があり、手間や金額はかかる為、十分なマーケティングを行わなければ、出店できたとしても失敗してしまうリスクがあります。
その点、ECサイトであれば、実店舗を持つよりも大幅に初期費用を抑えて、気軽にスタートが可能、サイトの作成やシステムの導入などを含めると数万円~数十万円程度でスタートできます。

また、現在は少子高齢化による人口減少などの理由から、日本国内での消費が冷え込むことが予想されており、企業では商圏の拡大を海外に求めています。越境ECであれば、簡単に海外進出が可能なため、ネット上で外国人顧客向けの店舗を持ち、日本にいながら海外市場へ販路を拡大することができます。

これから越境ECは伸びるの?

越境ECの市場規模は2014年には約25兆円でしたが、2019年には約90兆円へと伸張。2020年には、新型コロナウィルスによる、海外からの入国制限、インバウンド消費の消失を補填する目的で、海外消費者の需要獲得に向け、多くの企業が越境EC導入に乗り出し始めたことが影響して、109兆円を超えました。近年は毎年前年比20%以上を継続し、今後も市場の拡大は右肩上がりと予想されています。

世界の越境EC市場規模(売上)と対前年比率
 

越境ECのメリットは?

世界的なECの市場が急成長する中、越境ECも右肩上がりの成長を続けています。越境ECの市場規模は世界的にも拡大を続けているため、日本のみならず、取り組む企業は増加しています。ここでは、越境ECにおけるメリットを説明します。

メリット1:販路拡大

越境ECにおける最大のメリットは、海外進出などをおこない新規顧客を開拓し、販路を拡大できることにあります。世界的にEC、越境ECの市場は世界的に成長を続けており、国内だけではなく、中国、アメリカ、ヨーロッパなどの世界的な利用者を取り込むことは、大きな魅力です。外国人の顧客は、日本の顧客と比較したときにネットショッピングでの頻度や使用金額が高い傾向にあります。

メリット2:コスト削減

実店舗を海外に出店するためには、莫大な資金や、申請による手間など大きなリソースを必要とします。また事前の市場調査や現地でのマーケティングも必要になる為、海外出店は高コストで高リスクと考えられていました。しかし、越境ECという手法を用いれば、インターネット上での店舗構築になる為、低コスト低リスクでのビジネスを展開できます。

メリット3:コントロールしやすい

現在では、日本から海外への越境EC出店をサポートする企業やサービスも普及しており、日本にいながら日本語で海外の消費者にビジネスが展開できます。ツールやシステムも進化しているので、越境ECであっても価格調整、在庫管理、ブランディングやマーケティング戦略をしやすくなっていることもメリットしてあげられます。

越境ECを始めるには?

越境ECを始めるには、日本国内でのEC出店と同じく、大きく「自社でサイトを立ち上げするか」と「現地のECモールに参加するか」の2通りがあり、それによって出店や運用の仕方が違います。

自社でサイトを立ち上げの場合

越境ECの自社サイト運用とは、独自ドメインを取得し、その中にECショップを展開する運用方法を指します。独自ドメインでの越境ECは、顧客接点を多く持つことで複数のチャネルを構築し、ユーザーを育てることで収益の最大化をしやすくなるという特徴を持ち、自社のブランディング構築には優れた販売モデルです。集客を自力で行う必要があり、広告や販促に費用が掛かりますが、価格競争に巻き込まれにくく長期的な観点ではメリットが感じられる運用方法です。

現地モールに参加の場合

日本でのECショップ運用と同様に、越境ECにおいてもモール出店はポピュラーな出店方法であり、効果的です。特に、知名度の高い商材を扱っている場合は、集客や価格面での優位性が高いモールとも相性が良いでしょう。集客自体はモールがおこなうため、モール内での差別化や売上向上施策に注力できるという強みがあります。良くも悪くもモールの機能に依存するため、出店において出店料、その他手数料が発生し、モールの細かなルールに従わなければいけないなどの特徴があります。

日本の越境ECモールに参加

外貨決済に関する為替変動や、海外物流には関税や規制の把握、現地の法律や文化への理解などを考えると、これらのモールへの出店は手軽さはありますが、数多くあるショップの中から抜きんでるための努力は必要になりますし、売上を作る労力はどの様な形態の運用であっても必要になります。

開店の準備

越境ECにおける開店準備としては、

  • ビジネスモデル・戦略
  • 法律や制度、習慣・言語・文化
  • 物流・お客様対応
  • 税関

などが必要になります。

進出国での売れ行きの良い人気商品や、消費者のニーズを把握することも必須ですし、現地の法律では販売できない、輸出入できない商品もあるので、準備する段階で海外の市場調査をして把握をする必要があります。進出国のネイティブから見て不自然のない翻訳ができているか。そのための体制が作れているかなども確認しておくことが大事です。

物流

越境ECを行う上で、必ず把握しておかなくてはいけないのが、関税や海外配送、販売国でのルールです。
自社での取り扱い商品が、進出国で販売可能なのか、または海外発送可能なのかどうかを知る必要はあります。
各国の輸出入に関しては「日本貿易振興機構(JETRO)」のページで確認できます。

物流は、越境ECにおいて大きなポイントです。国を超えた取引の為、国内でのEC運営とは違い、国内での物流トラブルとは違い、即時対応が難しく、越境ECスタート以前の準備が必要です。物流業務には商品の入庫から発送まで業務の工程は多数存在し、時間と関わる人が多く消費されます。ECにおいて商材は売上に直結するため、物流業務はしっかりとしたシステムを要します。

カスタマサポート

越境ECにおいて出店の際にはカスタマーサポートの存在は必須になります。国内の取引においてもカスタマーサポートは重要な存在ですが、越境ECでは一般的な商品に関する問い合わせ以外にも、商品はいつ頃届くのか?関税はどうするのか?など様々な問い合わせに対応する必要があります。また国内であれば電話やメールでの問い合わせが主流ですが、海外での取引ではチャットが主流となっているため、貿易に対する全般的な理解力、支払いの仕組みや物流、通関、返税などに関しての理解は基本的に必要になります。

また、トラブルによって返品や返金対応が必要になる場合は、

  • 返金をし返品不要とする
  • 再度の無料発送(商品代金は一部負担を促す)
  • 割引をする

などの対応が求められます。

越境ECに関する法律・規制について

越境ECにおいては、物流、決済方法、発送手段など、販売国に合わせた対応が必要となります。販売国によってそれぞれ法律や規制が変わる為、事前に抑えておく必要はあります。日本からの輸出が多い中国においては、ECサイトの開設、及び運営は許可制になっており、未許可でショップを開設してしまった場合は運営停止や罰金など罰せられます。

このように、事前に調査しないままに越境ECをスタートしてしまうと国際的なトラブルに発展するケースも珍しくありません。事前の調査はしっかりと行いましょう。

越境ECの関税について

海外との取引には、商品やサービスに対して関税が発生し、商品によっては関税法で輸出が禁止されているものもあります。また、関税における税率は国ごとに違いますので、関税に関しても事前に調査が必須となります。

越境ECの物流について

輸出入に関しては、こちらも国ごとに禁止されている商品が違います。輸出入の可否に関しては、各国の税関サイトで公開されていますので、越境ECで取り扱う商品が販売可能かを事前にチェックしておきましょう。

越境ECの成功事例

株式会社We Agri様/東南アジアへの食品D2C

 

Tokyo Fresh Direc

東南アジアでは、コロナ禍での外出自粛、巣ごもりから、食料品や日用品のEC購入が増加してきました。食品のEコマースの売上が急拡大している背景もあり、日本国内では、株式会社「We Agri」様が、シンガポールの消費者へ日本産生鮮食品を直接届けるECサイトをオープンしました。

「Tokyo Fresh Direct」

京都府・⾕京嚴選京都物産館/台湾への伝統工芸品販売

 

⾕京嚴選京都物産館 コロナ禍における観光客減少、インバウンド需要の消失、対面販売活動の制限を受けて、「非対面・遠隔」で、新日国である台湾を対象に、宇治茶、京漬物、和菓子などバラエティ豊かな食品をはじめ、陶磁器や漆器、銀細工など京都の伝統工芸品を販売するECサイト。

⾕京嚴選京都物産館

越境ECを成功させるポイント

お客様のニーズや好みに合う商品を提供

中国では、日本の家電製品や衛生用品が、欧米では、和服などの民芸品や伝統工芸品が、同じアジアでも、タイやインドネシアでは「クールジャパン」に代表されるようなサブカルチャーやアニメ関連の商品やおもちゃが人気であったりと、国や地域によって好まれる日本製品は違います。どの国でも、自国にはなく、高品質であることは共通しており、日本製品への信頼の高さがうかがえます。

現地のプロモーション方法を使う

越境ECにおいては、自社サイトでの運用、モールへの出店どちらも、マーケティング活動や販促活動は必要です。プロモーションは現地の手法を取り入れる必要があります。インターネットやスマートフォンの普及によって急成長した経緯のある中国では、中国最大手のSNS「微信(WeChat)」を利用して販売や宣伝をして売上回収することが一般的になっています。また、日本でのインフルエンサーにあたるKOL(Key
Opinion Leader)と呼ばれるネット上の有名人を利用して自店舗の商品を宣伝するのも中国では一般的なプロモーション活動の一つです。商品をただ紹介するだけではなく、動画やライブコマース形式で発信したりするなど手法もどんどん進化しています。

安心・安全のショップイメージ

越境ECを成功させるためには、安心、安全に取引ができるという印象を消費者に与える必要があります。国内での取引と違い、関税や物流においてはトラブルが発生しやすく、文化の違いもある為事前の調査と、対応策を持っておくことは重要です。特に海外への発送では、荷物が雑に扱われることも珍しくなく破損が発生するケースもあります。海外輸送用の丈夫な段ボール・商品にはエアクッションなどを使い安全に配送できる方法を考える必要があります。また万が一のことを考えて配送会社にある破損補償サービスも視野に入れておくと良いでしょう。また、為替の変動も、消費者からすると気になるポイントです。顧客へ為替リスクがある場合は、毎日・毎時間変動することで購買欲が下がってしまうことに繋がりますので、為替リスクへの対応も越境ECを運用する際には問われます。

中国の越境ECならYouzan Japanにお任せください

中国を対象とした越境ECであれば、YouzanJapanがお薦めです。

Youzan Japanは、中国の大型ECプラットフォーマーYouzanとInfoDeliverの合弁会社として日本で設立された企業で、中国における巨大ECプラットフォーマーYouzanの持つノウハウ・事例・実績を、日本の法人・店舗に提供し「越境EC・ソーシャルECサービス」を誰でも簡単に実施できるように支援しています。

中国国内における、Youzanのサービス導入店舗は、543万店以上、従業員は4000名以上を超えます。北京、杭州、上海、広州、深セン、成都、香港に支店を設け,ネットワークは中国全土をカバーしており、パリなど海外にも拠点を置くなど、活動はグローバルです。現在は、様々なジャンルへソーシャルネットワークサービスや各販売チャネルでの新規セールスを助けるSaasソフトウェアサービスを提供する他、開発者向けPaaSクラウドサービス、ブランドショップ向けに広告運用もおこなうなど活動も多岐にわたります。

中国語の知識は一切必要なく、店舗構築、中国における販売ライセンスの取得、運営計画サポート、そして出店後のアフターサービスまで一貫してサポートしています。国際物流によって、商品が直接中国のユーザーに届くので、国内でECサイトを始める感覚で越境ECを始めることができます。気になる方はぜひ気軽にお問い合わせください。

Youzan Japanは、
中国最大のSNS WeChatと連動したECサイトを活用することで、
本気で中国進出を目指す企業様のパートナーとして、
中国市場でのターゲティング、テストマーケティングをフルサポートします!

記事監修者:杉本 武寛(Takehiro Sugimoto)
取締役 CMO

10年間ほど日中連携したインサイトsalesに携わってきました。コロナ禍、国際線の運航が制限されインバウンドが激減する中、日本の地域経済の活性化を目的として、ワンストップで中国越境ECサービスを提供し、海外展開を目指す中小企業者200社以上のサポートをしてきました。現在は、大手航空会社と日本全国、各都道府県の名産品と観光資源や文化などの情報を中国に届けるプロジェクトを担当しています。
sugimoto