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Youzan視点の中国EC動向と私域流量を活用した戦略とは

成長著しいEC産業の中で、世界の50%ものシェアを誇る中国において、業界の動向が変化しつつあります。
Youzanは、その潮流を見逃さずにビジネスのスタンスを転換しました。
この記事では、変わりつつある中国EC事情とそれに沿ったYouzan戦略について解説していきます。

中国EC市場の変遷

ユーザー層と使用デバイスの移り変わり
中国における越境EC利用者は19歳~44歳で約75%を占めています。
また、ECを利用する際に使用するデバイスについても、近年のスマートフォンの普及により、ノートパソコンでの購入47%であるのに対し、スマートフォンでの購入は96%(複数回答)と大きく上回っています。

ユーザーの購入行動の変化

かつては、ユーザーがオンライン上で何かの商品やサービスを探す際、お店や商品の特徴などを検索して判断の基準にしていました。
しかし、急速なスマートフォンの普及により、近年ではSNSなどで多くの人の意見を情報源とするユーザーが増え、マーケットの主流が若年層であることを裏付けています。

顧客ニーズの変化

従来から偽造品や誇大広告などが横行している中国で、前述のとおりSNS上の多数の人の意見、または友人や家族からの推薦を信頼する傾向となり、よって利用者は価格重視ではなく「高品質な正規品志向」、または満足度を追求する「ブランド志向」が増えつつあります。

Youzanから見た中国市場

従来型小売業の衰退

実店舗の客足は不安定で、従来型EC(モール型)も停滞期に陥りました。
オフライン店舗の閉店が相次ぎ、4割以上の暴落があったと伝えられています。
また、従来型のECでは多様性のない同質化商品が増え、価格競争が厳しくなりました。
さらにサイトの利用費用が高騰し、中小規模の業者にとって発展のチャンスが少ない状況となりました。

これからのビジネススタイル

Youzanのこれからは、オンラインを主軸とした経営や消費者へのサービス力をオムニチャネル構築に取り入れ、新しい小売りの「基礎構築能力」として活用するブランドを目指します。
オムニチャネルとは、企業と顧客の接点や販売経路をすべて統合し、総合的に顧客にアプローチするマーケティング手法を言います。
具体的には従来どおり実店舗やECサイトだけではなく、ユーザーの購買行動に大きく影響するTwitterやInstagramなどSNSも積極的に活用するチャネルとなります。
また、これからの中国のECにおける核心は私域流量(プライベートトラフィック)を自社のコアな資産とする指針で展開していきます。
日本ではあまり馴染みのない「私域流量」という言葉ですが、2019年頃から中国で話題になったマーケティング手法の一つで、外部の有料広告を利用することなく、あくまで自社によってSEO施策などを活用し、自社サイトや自社アプリといったプラットフォームにユーザーを呼び込み、成約に結び付ける手法を指します。

私域流量を活用した戦略

私域流量ECの効果

先に述べた私域流量に対して、モール型ECなどでビジネスを展開する手法を公域流量と言いますが、Tmallなどのように集客力が高い反面、顧客獲得コストが高すぎるというデメリットがあります。
一方の私域流量は、自社において顧客へのアプローチを行うため、ROI(投資利益率)が向上することにより、顧客獲得コストを下げ、新規客コンバージョン率を向上させ、客単価を上げる効果があります。
また、これまではTmallで商品購入したユーザーに対してコンタクトしておらず、自然とリピーターにつながることはありませんでした。
しかし、私域流量を活用することによって既存顧客のロスを防止でき、自社の宝庫となるのです。
さらに私域顧客基盤を構築し、常にユーザーに寄り添った至近距離での企業サービスを体験してもらったり、ユーザー間でコミュニケーションを取ってもらったりすることで、ユーザーの口コミやSNSの拡散によってブランド認知を高めることができ、たいへん効果的です。

自社コミュニティの連携ロジック

ユーザーと商品の連携

商品体験モニターを募集し、テストとトライアルのコストを抑えます。

連続的なアプローチ

自社コミュニティを通じて繰り返しのリーチ、そしてブランドを構築することでコンバージョンを促進します。

UGCコンテンツの連携

UGCとは「ユーザー生成コンテンツ」を指しますが、自社コミュニティを通じて信頼関係を構築し、企業側ではなくユーザーにコンテンツを制作・発信してもらうように誘導します。
低コストでユーザーに声を上げるスピーカーになって頂くことで、コンテンツの連携やブランドの浸透を図ります。

自社コミュニティの思考とは

従来のいわゆる公域思考では、単に「1つの商品を100人に売る」という考え方でした。
これに対して、自社コミュニティ思考は次のとおりとなります。

・1人のユーザーに100点の商品を購入してもらう。
・その1人のユーザーから他の100人に商品を推薦して購入してもらう。
・その100人により1000種の商品購入を達成させる。

つまり、自社コミュニティ思考とは、商品中心のロジックから顧客(ユーザー)中心に変わることなのです。

公域ECと自社コミュニティECとの差別化

従来のECは顧客獲得競争が激しく、さらにプラットフォームが成熟するに連れコストが高くなるのが難点でした。
また、ユーザーデータは制限され、出店企業が顧客を管理することは難しいため、自社コミュニティを構築することはできませんでした。
これに対して自社コミュニティECでは、12億とも言われるWeChatのユーザーが基盤となるため、自社資産となります。
さらに私域流量では、無料でSNSなどを利用し繰り返しユーザーにアプローチするため、関係が継続的なものとなります。

まとめ

Youzanは中国市場の変化を捉え、顧客を始めとする自社資産を最大限に活用する戦略で運用しています。
これによってコンバージョン率の向上やコスト削減にもつながることを解説しました。
越境ECへの参入を検討している企業の方は、是非一度Youzan Japanにご相談ください。
中国ECの動向と仕組みに精通した専門スタッフが、御社の中国進出をフルサポートします。

Youzan Japanは、
中国最大のSNS WeChatと連動したECサイトを活用することで、
本気で中国進出を目指す企業様のパートナーとして、
中国市場でのターゲティング、テストマーケティングをフルサポートします!

記事監修者:聂 宏静(Nie Hongjing)
YouzanJapan CEO補佐 マネージングディレクター

数年前、アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センでは、日本企業が深セン企業を視察するブームが起こっていました。その時、私は同時通訳として、日本企業視察団の人たちと一緒に様々なスタートアップや起業事例に触れる機会に恵まれました。大手日系企業で働く中で、数々の企業の創新創業のパワーに感動して、深センに進出。現在は、深センを拠点に、中国パートナー企業の開拓・関係強化、調査やリサーチ、最新情報の発信を行っています。
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